今回は「仮説思考」について言及したいと思います。
読書はちょっとした時に気になる本をちょいちょいつまみ食い的に読み、なるべく業務でアウトプットできるよう実践知にしようとしています。
今回は『仮説思考』を読んでの気づきと実践観点を簡単にまとめておきたいと思います。
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目次
今回のおすすめ図書
書籍:「仮説思考」とは
「仮説思考」という思考スタイルの教科書的な本。この思考法は「とりあえずやる」ではなく「少ない情報でゴールを描き切る、それから始める」といった手法を紹介しています。
これは仕事を進める上でも、実験をするときも、人にプレゼンをするときも、最大限の思考を働かすことで、最小限の時間で成果につなげることができることを示唆しています。
また、これをトレーニングする方法論も後半述べられており、応用できる範囲が多岐にわたることからビジネスパーソンは勿論のこと学生などにもオススメできる思考法の本です。
「仮説思考」の構成
本書は以下のような構成でまとめられています。
序章 仮説思考とは何か
情報が多ければ正しい意思決定ができる?
早い段階で仮説をもてばうまくいく
現時点で「最も答えに近い」と思われる答え
仮説思考を身につけるために第1章 まず、仮説ありき
1 なぜ仮説思考が必要なのか
2 先見力と決断力を支える
3 情報は集めるよりも捨てるのが大事
4 大きなストーリーが描けるようになる第2章 仮説を使う
1 仮説をもって問題発見・解決に当たる
2 仮説・検証のプロセスを繰り返す
3 仕事の全体構成を見通す
4 人を動かすのに必要な大局観第3章 仮説を立てる
1 コンサルタントが仮説を生み出す瞬間
2 分析結果から仮説を立てる
3 インタビューから仮説を立てる
4 仮説構築のためのインタビュー技術
5 仮説を立てるための頭の使い方
6 よい仮説の条件ー悪い仮説とどこが違う?
7 仮説を構造化する第4章 仮説を検証する
1 実験による検証
2 ディスカッションによる検証
3 分析による仮説検証
4 定量分析の基本技第5章 仮説思考力を高める
1 よい仮説は経験に裏打ちされた直感から生まれる
2 日常生活の中で訓練を繰り返す
3 実際の仕事の中で訓練する
4 失敗をおそれるなー知的タフネスを高める終章 本書のまとめ
「仮説思考」本書より
仮説の効用ー仕事が速くなる、質が上がる
気持ち悪くても結論から考える
失敗から学ぶー間違ってもやり直せばよい
身近な同僚・上司・家族・友人を練習台にする
枝葉ではなく幹が描ける人間になろう
概念や必要性の話からはじまり、具体的な事例も合わせて、普段使いできるハウツーまで落としてくれるのでかなり網羅的な教科書といった感じです。
個人的感銘ポイント
個人的に印象的だったのは以下の点。
- ポイント①:大きなストーリーを描く
- ポイント②:人を動かす大局観
- ポイント③:日々の訓練で思考を早める
この後順に触れます。
ポイント① 大きなストーリーを描く
まず、大きなストーリーを描くというものだが、何となくこんな感じかなと妄想するという話は述べられていません。
何かというと、まずは、自分の有する限られた情報や知見から細部まで詳細にゴールを描き切ることが求められます。
その例として、免疫学の権威の先生の自伝的な記事(私の履歴書)を引用して下記のようなことが述べられています。
ある時などは、私が次にこういう実験がしたいと言ったら、実験を始める前に論文を書けという。”ご冗談でしょう”といったら、”ランドシュタイナーはいつもそうしていた、今のお前にはそれが出来るはずだ”というのです。
「仮説思考」本書より
一応、理系人間の私的に実験を例に出されることは非常にイメージが沸きました。そしてそれと同時に、実験前にまずは論文を書けというのは、当時の私からしたら
と恐らく思ったと思います。データもないのにそんな詳細に書けるわけがない。と思うわけです。ただ、少ない情報で無理やりやるとどうなるのか、またこのように続きます。
仕方がないので、先生の言葉にしたがって、予測の下に論文を書いてから実験をしましたが、これは大変なアドバイスだったと思います。書いてから実験をすると、結論を出すために必要な対象は完璧に取れることになりますから、期待通りの結果がでなかった時でも、その実験は無駄にならない。
(中略)
あらゆる学問の研究では、まず数多くの実験を試み、その結果を上下左右さまざまな方向から分析し、論文をまとめていく。これが一般的なやり方だ。しかし、実はこれが、普通の人が陥りがちな罠でもある。一般的には、分析した結果をベースに結論を組み立てることが多いが、これでは答えもストーリーの全体像もなかなか見えてこない。
なるほど、私が思考停止していただけで、多少似たような経験をしたことがある人ならば、限られた条件から仮説を創り、それを元に書きあげることは可能でかつ非常に効率的だというのです。
また、実はこれ「実験」を「業務」に置き換えれば同じことがいえます。
つまり、仕事においても今与えられた情報から、期中のゴールイメージを描ききってからなるべく詳細な計画に落として、目標達成を前提に行動をするべきということです。
今の状況から、現状分析をしようとする時点で失敗のはじまりで近視眼的になります。ではなく全体像とストーリーをまずは描くことからが大事だということです。
ここでのポイントは余計な思考の余地を残さないことという点が強くのべられていました。
また、ここでの大局観や思考して不要な思考を捨て、必要な行動を導く視点で将棋界のレジェントの羽生さんの本も紹介されています。
自分の意思に従って決断できる人は、今まで積み重ねた経験からゴールイメージを瞬時にもって不要な選択肢を捨てることが出来るのでしょうね。
ポイント②人を動かす大局観
更に上記の応用編として、仮説思考でプレゼンを組み立てるということがのべられています。
プレゼンテーション用のパッケージはシンプルでわかりやすいことが大切だ。組織では企画提案や提言の内容が簡単で分かりやすい程行動に移しやすく、変化が起こりやすい。従って、提案・提言の前段となるパッケージも、簡単でわかりやすいものでなくてはならない。
「仮説思考」本書より
(中略)
まず仮説思考の結果ははっきりした課題を、シンプルに表現する。次にそれを解決するための提言を述べる。以上がプレゼンテーションの核である。
(中略)
プレゼンテーションを通じて成し遂げたいことを明確にした上で、そのためには何をどういう順番で話すのが良いのかを逆に考えていくのである。仮説思考の結論から考えるアプローチに極めて近い。
つまり、プレゼンの組み方も実は仮説思考の応用であるというのです。
この後は、具体的な方策が色々とでているわけですが、ポイントになるのは「聞き手の立場で再構成する」ということと「共感を生み出すこと」と述べられています。
ではこの共感を生み出すのに必要なこととは?というと下記の言及がなされます。
こうした共感は相手が何に悩んでいるのかを慮ることから生まれる。何を本当に悩んでいるかがわからない場合は、仮説の形で良いからそれを前提に組み立てる事を勧める。そしてその悩みにこたえるためには、どのような言い方や順番が良いのかを考えて組み立てる。
「仮説思考」本書より
個人的に、プレゼン対象の人の悩みは考えてダメなら多少ヒアリングしてから、それを元に組み立てるだけでもプレゼンの質がガラッと変わる気がします。
今までの経験から聴衆の代表者みたいな人の意見をとりこめれば共感ポイントを外すことはなく上記を通じて外すことはないと思います。
つまり一人で抱えるのは得策ではなく、関連者との対話や壁打ちが必要なのかなと思っております。
時間かけても誰にも相談しなかったプレゼンは大概、はずしてしまいます。
ポイント③日々の訓練で思考を早める
また、最後に具体的な訓練方法が述べられています。
新聞やテレビや普段の会話など、応用の範囲は非常に多岐にわたっており自分に合うものは何かしらあると思います。
特に社会人が大抵毎日目にしているであろう新聞記事なども下記の視点で仮説思考のトレーニングの材料になると述べられています。
- 業界全体が好調
▷他社の利益はどうか - 日本経済全体の回復・好景気
▷日本企業全体の経常利益はどうか? - 売上が伸びた(なぜ伸びた?)
▷新製品の伸び?既存製品の伸び?新規事業の伸び? - コストが減った
▷原価率推移を見る→調達コスト削減?在庫減?人件費圧縮? - 新商品がヒットした
▷実際にヒットした売上インパクト、利益率は? - リストラに成功
▷人員削減?事業撤退?資産の売却? - リーダーシップ
▷それ以前との変化、それによってどんな業績インパクトがあったか
なるほど、ここまで深く考えたことがなかった…。ということに気づきます。
何かというと、記事に出ている利益増減の情報から、四季報やネットの記事などを元に、それがなぜなのか?のwhyの根拠を深めることを提案されます。
また、それの検証をしたうえで、で、どうするべき?のso whatの視点で将来予測も合わせて考えるということも触れられており、ここまでで記事を見るのセットだと思います。
上記のso whatは仕事でも家庭でも、雑談の中で共有をして意見を戦わせつつ、アウトプットすることもセットで行えると学びが深まる気がします。
今まで、如何に思考停止をしていたかを思い知ります。
まとめ
上記の通り、この本を読んで印象的であったのは以下の3点。
- ポイント①:大きなストーリーを描く
▷少ない情報からゴールを詳細に描ききり、やるべきことを絞る - ポイント②:人を動かす大局観
▷共感を生み提案・提言が刺さるゴールから逆算して設計をする - ポイント③:日々の訓練で思考を早める
▷新聞など日々見るものを起点に、why, so whatの視点で思考訓練を行う
冒頭申し上げた通り、この思考方法はいたるところで応用が可能な考え方だと思います。
ただ、一方で必然性がない(必ずしもこの思考法をしなくても勉学も業務も進む)ので自分なりにどう腹落ちさせて実行にうつせるかがカギな気がします。
まずは業務からアウトプットできる仕組みを作りたいと思います。
ご精読頂きありがとうございました。
m(_ _)m
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