今回は分析結果の“レポート報告”について考えます。
業務を遂行する中で、各種分析に関するレポート報告する場面が多々あります。
その際に問題になるのが前提としての報告対象が統計知識がゼロの上で、かつ事業・経営的なメリットを求めている場合が多いという点です。
そのため、単に分析結果や考察をしたところで「で?」となることは必至のため、経営層に報告する際に留意すべき視点を整理します。
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目次
今回の論点整理
”分析レポート“の報告観点
今回の想定は出来上がった結果を経営層の方に報告するというシーンです。そのため、ポイントを一言で言うならば、
が論点です。これを実現するためには、回帰係数や、RMSE、Confusion Matrixなどの今まで触れてきたものを整理する必要があるため下記にまとめます。
具体的な想定場面
今回の想定は以下の通りです。
状況:データビジネスの企画はできるも、その意思決定を判断する根拠が現在はない
意図:新企画におけるビジネスインパクトを定量的に示して経営層の意思決定を促したい
このような時、「報告の見せ方」が勝負だと思います。
以下はレポート(パワポスライド)を創る際に、どういう点を意識してまとめると良いか、解釈の視点を絞って備忘録としてまとめます。
今回の抑えドコ
そこで、今回は上記を実現する手順について下記に備忘録的にまとめたいと思います。
- 今回の焦点
▷経営へのアップレポートに関して
(想定場面:データを用いた新企画を立案する際) - ポイント
▷報告の観点
▷現状分析(統計的有意差、回帰係数の解釈など)
▷今後予測 (RMSE, 混同行列の解釈など)
”レポート報告”でのポイント
ポイント① 報告の観点
報告をするにあたりまずは、聞き手の属性を考える必要があります。
今回のケースは経営層になりますので、興味になるのは
正直なところそれだけです。
それを時間がない中、判断してもらうための判断材料を差し出すというのが目的です。
また、後述しますが、プレゼンや報告をする際に考えたいのが以下の4観点です。
- 立場
▷事業の経営をして意思決定する立場 - 興味
▷イケてる新規事業、データを上手く絡めた企画 - 求めていること
▷ビジネスインパクトのある内容・説明 - 理解されていること
▷新聞などで出る他社でのデータ活用事例など - 感じているネガ
▷現実味のない企画、収益にならない企画ではないか - ゴール
▷「面白い!試してみよう!いくら必要か?」の反応
プレゼンをするときもそうですが相手に合わせて報告内容は変えるべきだと思いますので、今回は上記の通りかなと思います。
上記を踏まえると、報告内容で意識すべきは以下の3点
- どうメリットがあるかがわかる
- シンプルで見やすく判断しやすい
- ビジネスインパクトが分かる
そのため、分析のプロセスなどは報告資料にいれつつも必ずしも興味範囲ではないので報告する必要もないというのがポイントです。
つまり
ということです。
また、一方で報告する資料自体は
という視点が大事かと思います。興味範囲でなかったとしても
と問われて慌てるみたいなことがないように、質問回答用にある程度の網羅性は担保する必要があると思います。
その視点でいうと、以下の7観点は報告レポート(報告内容)に何等か加味する必要があるかと思います。
- 分析の目的
▷何のためにやりはじめたか。ここを一番熱く語る。 - 結果の概要
▷ポイントはどこかを最初にサラッと報告して聴衆の意見を聞く。 - 分析の背景
▷上記の意見を踏まえ必要に応じて触れる。基本はサラッと - 分析の方針
▷上記の意見を踏まえ必要に応じて触れる。基本はサラッと - 分析の過程
▷完全に飛ばす(話したところで理解されず、よくわからん!となるので) - 結果と考察
▷既存ビジネスへの影響とビジネスインパクトを伝える - 今後の計画
▷次の打ち手と今後の進め方・拡張を問う
上記を部分的にappendixにいれるかどうかはその場に応じてですが、どの内容もなんらか組み込んでおく必要があるかなと思います。
尚、「これから分析を進めたい」という初期段階であれば①~④までの体裁になるかと思います。
分析が終了した後は報告もかねて①~⑦を網羅的に記載する必要があるかなと思います。
ちなみに、上記の報告・プレゼン時は個人的に以下の書籍などを参考にしたりします。
ポイント②現状分析(統計的有意差、回帰係数の解釈など)
また、ここで上記で一番難しいのが⑥の考察部分です。ここで大事になるのは
を示すという点です。
特にデータ分析は定量的に出す必要があるため、定量的に事業貢献度を数字で示す必要が出ます。
そこでポイントになるのが下記2点です。
- 回帰係数
▷大小関係や相対的な変数の大小を提示したりするもの - 統計的有意
▷やったことの有用性などを統計的に意味があった(差になった)か否かを提示
どちらもデータ分析の解釈の視点で利用ができます。
前者においては分析対象のどれがどの程度効いているかを示すことが出来ます。また後者は偶然なのか、そうでないのかを統計的に示すことが出来ます。
そのため、これらを組み合わせることで、行っている施策の効果検証など、現状の分析を定量的に比較するなどして考察が出来ます。
これによって、例えばABテストをやった影響の有無を考えたり、今の打ち手を強めるべきか撤退すべきかなど、今後どのような方針にすべきかの示唆を与えることが出来ます。
ポイント③今後予測 (RMSE, 混同行列の解釈など)
上記と併せて考えたいのが
みたいな「今後のこと」を問われることへの準備です。
その際には予測モデルを介した結果考察が必要になります。主には以下の2点です。
- 回帰問題について
▷RMSEなどで数字のズレを出す(例えば不動産の金額予測など) - 分類問題について
▷AUCとマトリクスで正当割合を出す(例えば最近の需要予測のMAツールなど)
ポイント②で示した方法だけでも定量的に示すことは出来なくはないと思います。
ただ、ここでさらにつっこむと、現状の効果についてはわかったが、今後はどうなる?といった予測をする場合には、上記の検証が必要になると思います。
やることは今持っているデータを元に機械学習を用いて結果を予測し、想定する(比較したい)結果と誤差を計測することです。
そしてこの誤差がビジネスの内容と照らし合わした時にどのような影響があり、それが許容範囲かどうかが論点になります。
また、少し話はそれますが、予測モデルの構築という点では、今後の見込み層が可視化できるという側面から、下記の別軸での訴求もできたりします。
- 営業のアタックリスト作り
- リコメンド・MAツール化
- 不良品の自動摘出など
これらそれぞれ、調べれば詳細は出てきますが、どの程度の精度の予測精度かがわかると、どの程度インパクトがあるかを算出が可能となります。
(例えば、不良品の摘出による歩留まりが○○%改善すれば、○○万円のコストカットが期待できる等)
あとは組合せでありどういうシナリオにするかは報告担当者の腕次第なのだと思います。
まとめ
上記を活用する際に、理解しておくべきポイントは以下3点
- ポイント①:報告の観点
▷報告対象の興味を起点に7つの視点でまとめていく - ポイント②:現状分析(統計的有意差、回帰係数の解釈など)
▷どの要因がどの程度効いているかを定量で示す - ポイント③:今後予測 (RMSE, 混同行列の解釈など)
▷想定数値と予測数値を比較して今後の施策・インパクトを算出する
上記で述べた通り、一番のポイントは、報告を受ける側の興味にどれだけ寄り添えているか、が最重要なのでそこを留意する必要があります。
こう考えるとデータ分析においても一番必要なのは上記のような嗅覚とシナリオメイキングといったソフトスキルの力なのかもしれません。(営業していた時の感覚に近い。。)
これは普段の業務でも鍛えることができることなので、日々意識してソフトスキルの向上も意識していきたいと思います。
ご精読頂きありがとうございました!
m(_ _)m
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