【要約|能力の成長】戦略的にスキル育成を実現する科学的な方法論とは

名著・ビジネス書
ワタシ

ども、らーにゃです。今回は「能力の成長」について言及したいと思います。

どうやったら勉強の効率が上がるのか?

これは子どもの頃から誰もが考えるような大きな問いです。

ただ、これを本気で考えるためには上辺の方法論だけでは効率を上げることはできません。

そもそも人はどうやったら能力が高まるのか?この本質的な問いを理解した上で自分なりにアレンジする必要があります。

そのため、今回はこの本質的な問いに対して解説してくれる書籍についてまとめまていきます。

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今回オススメしたい書籍

「能力の成長」の概要

本書では”どうしたら能力が高まるのか”という点について多角的に分析して解説してくれます。

その上で、スキル育成をどのようにして進めていくべきかの道筋も合わせて示してくれます。

具体的には、そもそもスキルの育成というのは表面的なものではなく、段階があるということ

また、人格形成だけすればいいのではなく、人格形成と戦略的なスキル育成の両輪が必要な時代である

この2点を前提にスキル育成に関する具体論を述べています。

社会人の学習の必要性が叫ばれる今、社会人こそ抑えたい視点の数々が得られます。

■ご参考リンク(社会人の学習の必要性)

「能力の成長」の目次

本書は以下のような構成でまとめられています。

■はじめに さらなる「自他成長」が求められる現代社会

■序 章 自他成長を促す「知性発達科学」

-能力開発と知性発達科学
-ロバート・キーガンが提唱する「器」の成長モデル
-カート・フィッシャーが提唱する「能力」の成長モデル
-本書の実践的活用法

■第1章 「ダイナミックスキル理論」とは

-「ダイナミックスキル理論」の概要とその誕生の背景
-能力の成長プロセスを何かに喩えてみる
-スキル開発の問題/能力の「環境依存性」
-能力の「課題依存性」
-能力の「変動性」
-「サブ能力」に焦点を当てる
-「最適レベル」「機能レベル」「発達範囲」とは

■第2章 大人の能力の成長プロセス

-「マクロ」「ミクロ」「メソ」な成長
-「フラクタル」な成長
-能力の「ネットワーク的成長」
-成長サイクル内で見られる「質的成長」と「量的成長」
-能力の成長に関する5つの法則
-第1法則:統合化
-第2法則:複合化
-第3法則:焦点化
-第4法則:代用化
-第5法則:差異化

■第3章 自他の能力レベルを知る

-レベルとは「高さ」や「深さ」である
-なぜ自他の能力レベルを知ることが大切なのか
-フィッシャーが提唱する5つの能力階層
-5つの能力階層と「点・線・面・立体」の成長サイクルとの関係
-フィッシャーが提唱する13の能力レベル
-言葉の力と実践力が持つ密接な関係/抽象性と再現性
-一流のアスリートと持論形成力
-知識の圧倒的な欠落と言語化の鍛錬不足
-フィッシャーが提唱する能力の高度化の意味
-プロフェッショナルに求められる能力レベル

■第4章 既存の能力開発の問題点とその改善法

-既存の能力開発の問題点
-問題点1:変動性の無視
-問題点2:生態学的妥当性の無視
-問題点3:多様な能力領域・多様な成長プロセスの無視
-どうすれば成長を促すトレーニングが実現されるのか
-変動性の3種類のノイズ
-1人ではできないことを「できる」に変える/他者を通じたさらなる成長と他者のさらなる成長を支援するために

■第5章 「マインドフルネス」「リフレクション」「システム思考」との統合

-マインドフルネス瞑想の落とし穴
-マインドフルネス瞑想の有効活用
-フロー状態を生み出す
-リフレクション(内省)の落とし穴と有効な活用法
-概念化とシステム思考

■おわりに さらなる自他成長へ向けて

「能力の成長」本書より

成人の能力向上というテーマに対して、ダイナミックスキル理論という何ともとっつきにくそうな論が前に出ていますが、読みやすいです。

また、随所に「成長レシピ」という名の具体的なスキル育成の実践方法の提案があるため、そこを追うだけでも実践につなげやすいです。

また、後半にいくほど、よりミクロでより踏み込んだ内容になるため頭から読んでいって興味があるところまで触れることをオススメします。

ワタシ

時間がなくてもポイントを抑えやすい構成になっているのはありがたい

個人的実践ポイント

本書の内容で特に良い!と思ったポイントは以下の点です。

感銘ポイント
  • ポイント①:スキル育成の必要性
  • ポイント②:能スキルのレベルという考え方
  • ポイント③:他者からの支援を活用した能力開発

順にふれていきます。

ポイント① スキル育成の必要性

まず1点目がスキル育成という概念についてです。

まず、スキル育成については本書では以下のような言及がなされています。

私たちは「器」と「能力」の2つを金揃萎えており、両者は相互に影響を与え合いながらも、独立した形で成長していく、という点と関係しています。

この点を踏まえると、私たちは、キーガン、クック=グロイター、トーバートの理論を尊重し、器としての成長を考えていくのと同時に、「能力」の成長についても真摯に考える必要があるのです。

「能力の成長」本書より

スキル育成というのは、人間の器や人間性の確立みたいな話とは独立したものであるということを強調しています。

特に、日本に蔓延る「スキルよりも人間性だろ」といったような二者択一のような問いがナンセンスだという点を指摘しており、感覚的にそれは理解しやすいです。

本書の主張としては今後の世の中を生き抜くためにはこの2点を”両立する必要がある”という点です。

  • 人としての器
  • 人としての能力

つまりどのような人でも自分でスキル育成ができないといけないというのが一貫した主張です。

これは、言われてみるとおっしゃる通りという感じですが、言われないと先ほどの二者択一の思考になりやすかったりもします。

この考えに基づいた上で、どんな人になりたいか、と併せて、どんなスキルを得たいか

これを明文化した上で、次項からはそれらを実現するための実践方法の解説に移ります。

ワタシ

人間性確立とスキル向上は両輪…自分は出来ているのだろうか…

ポイント② スキルのレベルという考え方

次にスキルのレベルに関する考え方についてです。

学校教育でも社会人教育でも一番問題になるのが、上辺の理解か、深い理解かを指し図る手段がない点があります。

成績評価の仕組は基本的に、質的な差異よりも、「テストの点数」というた隠逸の量的な基準を重視しているからです。

~中略~

学力を単純な数値で図る時、そこではそれぞれの子どもたちが持つ関心事が考慮に入れられることはあまりなく、それぞれの子どもたちがもっている知識や理解力の深さの違いなどが無視されがちです。

また、企業経営を単純に財務数値で評価する時、経営者の思想の深さや経営内容が持つ社会的な意義の深さなどが無視されがちです。

「能力の成長」より

では、この一見、測りがたく捉えがたい”深さ”という点をどのように考慮するべきか。

本書では、スキルの深さを5つの能力階層で分け、さらに食らえて能力レベルを13段階に分け、その関連性を科学的に示す段階モデルというものを提唱します。

まず、この5つの能力階層の内訳は以下の通り

  1. 反射階層
    ▷無意識的な反応を生み出す
  2. 感覚運動階層
    ▷言葉を用いることなく身体的な動作を生み出す
  3. 表象階層
    ▷頭の中で物事のイメージを作ることを可能にする
  4. 抽象階層
    ▷形のない抽象的な概念を操作する事を可能にする
  5. 原理階層
    ▷抽象的な概念をさらに高度な概念・理論にとまめられる

また合わせて、このモデルでキーになるのが「点・線・面・立体」という成長サイクルの考え方です。

これは上記の各階層において

  • 点”を作る段階
  • “線”を作る段階
  • 面”を作る段階
  • “立体”を作る段階

と段々と広がりをもつことを示します。

例えば、読書をすることを考えると、

  • 点を作る段階
    ▷本に出る単語を理解する
  • 線を作る段階
    ▷単語をつないだ文章を理解する
  • 面を作る段階
    ▷文章間のつながりを理解する
  • 立体を作る段階
    ▷全体の主張を理解し要約が出来る。

となります。英語の読解問題などに置き換えるとイメージすると分かりやすいかと思います。

ちなみに、この読解問題を解くのは前述の5段階モデルでいうと、3つ目の「表象段階」に該当します。

自分で実際に動くわけではなく、頭の中で考え理解できる段階にきているわけです。

以上のように、まずは、このスキルの段階に分けて考えて、どこを目指していくべきかを考える必要があります。

ツマ

こういうフレームが用意されると整理がしやすくなるね。

ポイント③ 他者からの支援を活用した能力開発

最後に具体的な方法論についてです。

で、どんなスキル向上のやり方があるのか?という視点について考えます。

これはシンプルで「他者の力を借りるのが最も合理的」というのが結論です。

本文中には、この視点で最近接発達領域という概念が出てきます。

何やらゴツそいうな単語ですが、下記の解説があります。

私たちが何か新しいことに挑戦する際に、独力で達成することが出来ることと、他者からの支援がなければ達成できないことがあります。

最近接発達領域とは、他者からの支援があった場合に、一人では成し遂げられないことが成し遂げられることに代わる領域のことです。

「能力の成長」本文より

最近接発達領域とは他者の力を借りないと為し得ない領域のことを指しており、本書ではここを強化することの重要性を説いています。

つまり、ここを強化するべく他者からの支援をうまく使うことが能力向上の一番の近道ということです。

また、ここで、もう一つポイントになるのが下記の内容

重要な示唆は「やればできる!」を単なる掛け声にしないということです。つまり言葉だけを投げかけていては、その人の能力レベルが課題レベルを下回っているのであれば、ちうまでたってもその課題を達成できません。

重要なのは適切な支援を提供し、一緒にその課題に取り組みながら、その人の最適レベルを引き出すことです。支援によって、その人の最適レベルを引き出すことができたら、その人は課題を達成することが出来、「やれば出来た!」という想いになるでしょう。

「能力の成長」より

これは学校教育もそうですが、個人的には会社での新人育成やOJT制度の効用・狙いはまさにココだと思います。

それも単に頑張れ頑張れ!というのではなく、一緒に寄り添って、成功経験をアシストするという点が大事だということです。

また、この点で社会人の能力育成におきかえて考えると、パーソナルトレーナーやメンター制度などもこの点でとても合理的な仕組みです。

強制的にでもやったらできた!を演出する仕組みが出来ています。

どこぞやの「成果にコミット」というキャッチフレーズはまさにこれですね。

■ご参考リンク(成果にコミット例)

そのため、如何にしてこの仕組を取り入れられるか、ここが社会人の能力育成にとって肝になります。

また、この他者の支援という意味では、スキャホルディング(足場かけ)という概念も抑えるべきポイントです。

能力育成において、ハードルが高いことを続けていると挫折してしまうことはよくあります。

そのため、ここを改善するためにはスモールステップで実践する必要があります。

この点で支援者においては、このスモールステップを意図的に作るための、足場を用意する必要があるという考えです。

よく考えると、学校の先生もすぐれた人ほど、うまくかみ砕きながら、ここを段階的に生徒たちの「できた!」を引き出していた気がします。

これは、このスキャホルディングの概念を上手く実践できていた人だとも感じます。

そのため、うまく他者の力を借りてスモールステップの成長サイクルを作るのがカギです。

ワタシ

パーソナルトレーナーやメンター制度の利用は商用のものは結構なお金がかかるので、身の回りの人に頼むか、ここぞという時に使いたいですね。

まとめ

上記の通り、この本を読んで印象的であったのは以下の3点です。

感銘ポイント
  • ポイント①:スキル育成の必要性
    ▷人としての器と能力とを両軸で向上させることが今後は急務
  • ポイント②:スキルのレベルという考え方
    ▷5段階の階層と、点・線・面・立体のサイクルで向上サイクルを作る
  • ポイント③:他者からの支援を活用した能力開発
    ▷まずは自分で行い、それ以降は他者の力を借りて引き出していく

今まで、何となく考えてきた学習の効率性についてとても整理がされます。

特に、スキルの上げ方において、他者の介入が必要不不可欠であるということと、どのように利用するべきかが明確になります。

今後は、社会人になっても勉強し続けて成長し続けることが求められる時代です。

そのため、なりたい姿を思い浮かべると同時に、成り行きではなく、どうやってそこに近づくかの具体論も考えることが大事です。

この点、どのように自分を成長させていくかを考えるお供として脇においておきたい一冊です。

ご精読頂きありがとうございました。
m(_ _)m

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